2024年4月19日「『違法な長時間労働を許容する劣悪企業に人材が流れてしまう』人手不足に苦労する”ホワイト企業”の悲鳴」横須賀輝尚の記事がPRESIDENT Onlineに掲載されました。

2024年4月19日「『違法な長時間労働を許容する劣悪企業に人材が流れてしまう』人手不足に苦労する”ホワイト企業”の悲鳴」横須賀輝尚の記事がPRESIDENT Onlineに掲載されました。

「違法な長時間労働を許容する企業に人材が流れる」という悲鳴

なお、最近では一般的に劣悪な労働環境である企業を「ブラック企業」と呼ぶのは変わりませんが、「ホワイト企業」とは、コンプライアンスは遵守されていても「やりがいがない企業」を指すことがあり、優れた労働環境とやりがいを併せ持つ企業のことを「プラチナ企業」と呼ぶこともあるようです。

この問題は、特に運送業において顕著です。運送業界では長年にわたり、長距離・長時間労働によって収入を確保するという働き方が一般的でした。しかし、2024年問題として知られる働き方改革関連法の施行により、労働時間の上限が厳格に設定されることになり、この従来の働き方が大きく制限されることになります。このような状況の中で、実際には法律違反を覚悟で働かせてくれる企業に人材が流れるという実態が生まれてしまっています。

実際、現場の運送業企業からは、「違法な長時間労働を許容する企業に人材が流出している」という悲鳴もあると言われています。この問題は、単に法令遵守の観点からだけでなく、労働者の健康と安全、そして企業の持続可能性にとっても重大な課題です。

日本の企業は大きな過渡期にある

長期的な解決策としては、ホワイト企業が運賃を値上げすることで、給与水準を適正化し、労働者の満足度を高めることが一つの方法として考えられます。しかし、例えば賃上げのためであっても、特に中小企業の運送企業にとっては運賃の値上げは顧客離れを招くリスクもあり、簡単には実行できない難しい選択と言えるでしょう。結局のところ、日本の運送業界を含む多くの産業は、ホワイト企業化と経済的現実の間でバランスを取る必要がある過渡期にあります。

この過渡期を乗り越えるためには、企業文化の再定義や働き方の革新だけでなく、業界全体の価格構造や給与体系を見直すことが求められます。また、生成AIなどの技術革新やデジタル化の進展を活用して、効率的な業務プロセスを構築することも、持続可能な解決策につながるでしょう。ホワイト企業化の流れは、単に労働環境を改善するだけでなく、企業が直面する経済的・社会的課題に対する総合的なアプローチを必要としています。この大きな変化の中で、日本の企業は新たなビジネスモデルと労働倫理を模索することも必要です。

https://president.jp/articles/-/80544