社長の後継者が足りない!!
「2025年事業承継問題」がここ数年、経済的脅威として叫ばれています。これは、2025年までに70歳を超える中小企業の経営者が245万人となり、その過半数の127万人が後継者が決まっていないという問題です。全国の中小企業は「跡継ぎ問題」で頭を悩ませています。
しかしながら、ただ跡継ぎが決まれば会社は安泰かといえば、そうではありません。
「二代目、三代目社長は倒産の危険性を孕んでいる」と経営コンサルタントの横須賀輝尚氏は解説します。今回は、横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、再構成してお届けします。
■なぜ、二世は会社を潰してしまうのか?
社長の息子や娘が事業を引き継ぐ。こういうことは多々あります。近年では、家具屋さんとかアウトドア企業とか、いろんな意味で世の中の話題になっていますが、「身内が会社を継ぐと傾きやすい」とよく言われます。
理由は様々。もちろん、親の代を継いで立派にやっている社長もいるので、ここでは「二代目のジンクス的な話」になります。いくつかパターンを紹介しましょう。まずは二代目が先代のやり方を大きく変えようとするパターン。
二代目って、変えたがるんですよね。どうしても「親のおかげで社長になったボンボン」的な見られ方をしますから、自分の力を見せたい。そういう衝動があるわけです。新しいことを始めると、古参の社員はそれを嫌がる。そして「二代目はわかっていない」と崩壊の道筋をたどります。
こんなパターンもあります。
地方都市で老舗企業を経営している社長。子どもは都会の大学に行き、そのまま都会で就職。ところが、突然社長が事故により急死。跡継ぎとして都会で働いている子どもを呼び寄せ、社長に。
こうした急な事業承継は、知識も理念も経験も承継することができず、八方塞がり。こういうパターンの二代目就任もなかなか苦しいものです。
そのほか、例えば二代目に就任したときにはすでに経営が成り立っているので、財務なども既存の社員に任せっきりで実態を把握しないとか、あるいは子どもに社長を譲ったものの、いつまで経っても親である社長が会長や相談役などの肩書で会社に君臨し続けるなんてのも雲行きが怪しい。
たまに仕事が好き過ぎて引退しない社長もいますけど、この場合は、社長の座を譲った子どもがいつまで経っても社長を任せられる実力が身に付かなくて、離れられないって場合もあります。
だから先代に何かあったら急に崩れるというパターンも。まあ、単に子どもと離れたくないって場合もありますけどね。
ところで、身内以外の承継には「社内出世」の社長と、「プロ経営者」の場合があります。前者は社内で成り上がったいわば「サラリーマン社長」。
後者は、経営のためだけに呼び寄せられた「経営者のプロ」です。
プロ経営者の例としては、スターバックスコーヒージャパン株式会社の代表取締役を務めた岩田松雄氏などが有名です。岩田氏は経営が厳しかったスターバックスコーヒージャパンを、ANAとの提携や「VIA」(スティックコーヒー)の開発などで業績を向上させました。
こういう「プロ経営者」は義理人情で仕事をせず、報酬の対価として経営をします。結果が出なければ解任なので、プロ経営者が社長を務める会社は、潰れにくいといえるかもしれません。
横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
https://news.yahoo.co.jp/articles/f22cdeb4d1cb277cb7d053b82c1cc9946c1ae7ec