最初の“お客様の声”をどう集めるか

案件が来たときに、最初のうちは「お客様の声」をもらうことを目的に、料金を少し抑える提案をすることがあります。このときに大切なのは、「なぜこの価格なのか」を自分の中で言語化しておくことです。

たとえば、

• 「今は少し時間に余裕があるので、すぐに依頼いただければこの価格で対応できます」
• 「急ぎでなければ、通常価格よりも少し安くご提供できます」

こういった理由を明確にしておくことで、安く見せるだけでなく、信頼も保つことができます。価格を下げること自体が悪いのではなく、「下げた理由」を伝えることが大事です。

実際の案件がゼロでも、やれることはたくさんあります。たとえば、セミナーを開催してアンケートを取り、そのコメントを掲載するという方法もあります。

また、知り合いからの相談対応など、無料でも感謝されたことがあれば、「相談者の声」として紹介するのも有効です。いわゆる「商談ではないやり取り」からも、感想や評価は得られるのです。

最近ではレビュー文化も進んできており、実名・顔出し・会社名のフルセットでなくても、「○○県在住／40代女性」などの簡単な情報とともに掲載するだけでも、読者にとっては安心材料になります。

特に最初のうちは、「声の数」や「実績の厚み」を演出することが重要です。必ずしも完璧な証言が揃わなくても、できる範囲で集めていくことが、将来的な財産になります。

商品でもサービスでも、「誰かが体験してよかったと言っている」という情報は、想像以上に強力です。こちらがいくら説明しても、たった一言の「よかったです」のほうが、相手の心を動かすこともあります。

だからこそ、独立当初から「声を集める」意識を持つことが、結果として営業や広報を加速させてくれるのだと実感しています。

最初は少し気が引けるかもしれません。「お願いしてまで感想をもらうのは…」と思う人もいます。でも、今の時代、レビューや口コミがないサービスは、それだけで選ばれにくくなっています。

だからこそ、「声を集める」ことは、自分の商品・サービスの価値を高めるための大切な仕事だと捉えるべきです。

「最初のお客様の声がない」という状況にいる人にこそ、今回の話を届けたいです。ゼロの状態から1つ声をもらうだけで、前に進めるようになります。たとえ匿名でも、たとえ短くても、それは確かな「信頼の種」になります。

その種を少しずつ集めていくことで、自信にもつながり、さらに良い仕事を生み出せるようになる。だから、勇気を出して、最初の一歩を踏み出してほしいと思います。