経営を見直すなら、最初に考えるべきこと

LEGALBACKSの会員には、開業前の方から15年以上のベテランまで、さまざまな士業の方がいます。経営を見直そうとするとき、多くの人が以下のような具体的な項目を挙げます。

• プロフィールや名刺、事務所案内などのツールの見直し
• ニュースレターの作成やメルマガの検討
• 顧客リストの整理
• 時間の使い方の見直し
• 所属団体への参加の必要性の再検討
• ウェブサイトのデザインや広告運用の改善

これらはどれも重要です。しかし、もっとも大切なのは「自分がどんな士業になりたいのか」、そして「どのように生きたいのか」を明確にすることです。

経営を改善しようとすると、多くの人はまず具体的な方法論に目を向けます。確かに、名刺やウェブサイトの改善は効果的ですし、時間の使い方を見直せば業務効率も向上します。しかし、根本にあるべきなのは「自分のありたい姿」です。これが定まっていないと、どの方法も「良い」とも「悪い」とも言えなくなります。

例えば、「かっこいい行政書士」を目指すなら、セミナー営業でもアナログ営業でも構いません。どちらが正解かではなく、目指す姿に合う方法を選ぶことが大切です。つまり、具体的な手段はあくまで手段に過ぎず、選択の軸になるのは「自分自身のコンセプト」なのです。

経営には多くの選択肢があります。たとえば、SNSを使った情報発信、地域に密着した対面営業、専門分野に特化したサービス展開など、どれも効果的ですが、どれが最適かは「自分がどうありたいか」によって変わります。

もし、「地域の人々に信頼される士業」を目指すなら、地域イベントへの参加や地域メディアでの情報発信が効果的でしょう。一方で、「全国規模で活動したい」と考えるなら、ウェブサイトやオンライン広告を強化するほうが合理的です。どちらも間違いではありませんが、自分のコンセプトに合っていなければ意味がありません。

具体的な施策を考える前に、「自分はどんな士業になりたいのか？」を再確認すること。これが経営を見直す際の最初の一歩です。

その上で、プロフィールや名刺、ウェブサイトといったツールを、そのコンセプトに合うように調整します。例えば、親しみやすさを重視するなら、柔らかいデザインや言葉遣いを意識します。逆に、専門性や信頼感を強調したいなら、シンプルで洗練されたデザインにするのが効果的です。

また、時間の使い方や所属団体も、目指す姿に合っているかを基準に見直します。たとえば、「地域密着型」であれば地元の団体活動は価値がありますが、「特定分野の専門家」として全国展開を目指すなら、その時間を専門知識の発信やオンラインネットワークの構築に使うべきでしょう。

経営を見直す際には、まず「自分がどうありたいのか」を突き詰めて考えることが最も重要です。その答えが、プロフィールやウェブサイト、営業方法といった具体的な施策の選択基準となります。手段は無数にありますが、選ぶ基準を持てば迷うことはありません。経営において大切なのは、具体的な方法よりも、自分自身の軸を定めることです。